たんぽぽさんのうた7
そのとき、
穴の中から声がした。
「ごめんね、たんぽぽさんは、返すわね。
わたしが子供の頃いたところでは、春になるとたんぽぽがいっぱい咲いててね、
わたしは、毎日たんぽぽさんの歌を聞いていたの。
ふるさとできいた、たんぽぽの歌を天国に行く前に
聞いてみたいって言ったから、
この子が、あなたのたんぽぽさんをつれてきてしまったのね。
わたしはもう、飛べないから・・・
やさしい子だから、わたしの願いをかなえてくれようとしたのね
許してあげてね。」
ちょろぴは言いました。
「ぼくは、いいんだけど、
ぽぽさんは、森の向こうの丘までいく途中なんだよ。
咲いてるうちにいかなきゃいけないから・・・
はやく行かなくちゃ」
そう言ったとき、
ぽぽさんがいいました。
「ちょろぴ、わたし一日ここで歌を歌うわ。
たんぽぽ一族の歌をこんなに覚えててくれて
聞きたいと想ってくれるなんて、うれしいし、
それに、ふるさとに帰りたい気持ちは、よくわかるから。
わたしの歌で帰れるなら、わたしも幸せだわ。」